徳本峠小屋再誕工事 宿舎棟
第23回(2012年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from長野支所》
【 建 築 主 】 高橋徳美
【調査研究/基本設計/実施設計/設計監理】土本俊和
【調査研究/基本設計】梅干野成央+信州大学土本研究室
【 実施設計 協力 】 玉川幹夫・児野登(㈱アーキディアック)
【 施 工 】 ㈱アスピア
<選評>
大正12年の創建当初の原形部分を保存修理し、宿舎棟とトイレ棟を建設することで山小屋の建築文化の継承・保全・再生をめざした建物である。解体部分の柱・梁材等は、新しい構造部材と共に軸組や小屋組の空間に再利用されている。仕上は無垢の材料を使い、極力隠蔽部分を作らない空間の提案は、長期的なメンテナンスにも対応できるようにしている。また、維持管理において、施主・利用者が一体となり継承と保全の運営の仕組みを作っていることは評価できる。外観は、保存改修された原形山小屋を引き立たせるかのように、シンプルなデザインで造形を控えている。内部空間は、中廊下型という伝統的な山小屋の機能を継承しながら、中廊下型スキップフロアーという新しい考え方にたち、光や風の導入と、利用者のプライバシーに配慮するという両面の機能を融合させている。北陸地域の山岳建築の新たな創造と、継承・発展という意味で本賞に値する建築として評価した。