長岡造形大学展示館 MàRoùの杜
第24回(2013年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
【建築主】学校法人長岡造形大学 理事長 豊口協
【計画提案・基本構想・基本設計・実施設計・積算・現場監理】長岡造形大学 山下秀之(意匠)、江尻憲泰(構造)
【施 工】㈱大石組
<選評>
長岡市内で長年活動された故・丸山正三氏の3000点におよぶ絵画などの作品を収蔵・展示する展示館であり、その建設主旨から北陸建築文化の貢献に相応しい建築と評価できる。寄付金の状況から延床面積300m2という規模条件となったが、展示空間の幅を巧みに変化させ奥行きを感じる空間を造りだしていること、狭小空間を通り抜けた奥には高い空間が配され、ハイサイドからの光と相まって広がりを感じる空間を造りだしていることなど、設計者の力量が伺われる。街路のような展示空間の構成や2階の十字型の収蔵庫は、古典的建築の幾何構成を現代建築として翻訳しており、密かなインテリジェンスも感じさせる。この建築は木立に囲まれたビオトープに配置されており、外観のアルミとステンレスのスパンドレルが周囲の自然や四季の変化を柔らかく映しだしている。さらに、光の反射状況によっては自らが印象的に輝くといった環境と一体となった姿を創り出している。地域の文化、自然との一体化、狭小ながらも印象的な空間創造など、すべての点において高い評価となる建築作品である。