扇屋旅館
第24回(2013年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
【 建 築 主 】 扇屋旅館
【 建築設計・管理 】SALHAUS(安原幹+日野雅司+栃澤麻利)
【インテリアデザイン・管理】6D(大坪輝史)、+iDESIGN(泉井保盛)
【 施 工 】増田建設
<選評>
新潟県村上市は、かつて城下町で栄えた町である。15年程前から町家再生プロジェクト・黒塀の保存など、地域の建築文化を大切に育んできた活動が実り、町に風情ある景観が再生されている。しかし、駅前は、無機質な近代建築群が立ち並んでいる人通りもまばらな環境である。本プロジェクトは、この地にある和風旅館の改修計画である。密閉された旅館から、そこに住む地域の人々に開かれた場として、目に見えにくい地域コミニテイを、この再生計画で視覚化し地域活性化に繋げる試みである。町に開かれた中庭の再生により、中庭が核となり旅館の客室・カフェ・食事処・住宅棟が囲まれ、それぞれのシーンを創り上げている。築80年以上経った木造建築を耐震補強し安全性を担保し、地域環境に配慮した外観構成として地域文化に新たな創造性を提案している。まさに、どこにでもある「普通の建築」のポテンシャルを発掘し、既存ストックを有効活用した優れた作品である。