hara house/中之島の家
第32回(2021年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
【 建 築 主 】原田 直哉
【 設計・監理 】株式会社東海林健建築設計事務所
【 施 工 】株式会社吉原組
<選評>
60度の切り立った切妻屋根が地面の上に基礎の浮いており、軒先を捲り上げるように屋根を変形させた、聊かオブジェクティブな白色の形状がのどかな農村の風景に馴染んでいるのか疑問に思いながら現地を訪れた。
この集落だけでなく、その往路においてもビニルハウスの骨組みに白いテント生地で覆った農業用倉庫が数軒見られ、また、敷地の道路向かいには防火水栓が耐水べニアを頂部で繋ぎ合わせただけの簡易な切妻屋根で覆われており、なるほどこの地域のコンテクストが反映された提案であることが見て取れた。
中はキッチン・トイレと浴室・洗面室を水回りコアとして入れ子状に配置し、その上部を子供室とワークスペースとすることで、1つながりの大きな屋根下空間を駐車スペースとリビングダイニングと主寝室に分節している。両側の軒先はテラススペースとなり、母屋や納屋、畑、道路などとの往来を受け入れる中間領域となっている。大らかな屋根を拠点とした豊かな田園のライフスタイルが、より一層、この住宅を風景に溶け込ませているように感じられた。(横山天心/富山大学)