国立工芸館
第32回(2021年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from石川支所》
【 建 築 主 】石川県
【 設計・監理 】株式会社山岸建築設計事務所
【 建築(RC造・S造)工事請負業者 】真柄・高田・共栄特定建設工事共同企業体
【 旧陸軍金沢偕行社工事請負業者 】岡・本田特定建設工事共同企業体
【 旧陸軍第九師団司令部庁舎工事請負業者 】長坂・川元特定建設工事共同企業体
<選評>
国立工芸館は国登録有形文化財である旧陸軍第九師団司令部庁舎と金沢偕行社を移築・活用し美術館として整備したものである。この2棟は共に金沢における明治期の木造建築の文化を継承していく上でも重要な建築である。登録有形文化財としての保存・復元のあり方と建築基準法との両立、さらには美術館としての計画や設備など、実に様々な要求を試行錯誤の上、クリアし整備されている点は非常に高く評価できる。その中でも「時刻歴応答解析を参考とした限界耐力計算法」を用い、移築部分である木造と復元部分であるRC造と一体とした混構造を採用しすることにより古材を最大限再利用し、登録有形文化財を保存、活用していく新たな手法を示した意義は大きい。
21世紀美術館、石川県立歴史博物館、石川県立美術館など様々な時代の建築の中で文化、芸術に触れることのできるエリアの中に、この国立工芸館が加わったことで金沢としての魅力と厚みが増していると言えるだろう。(宮下智裕/金沢工業大学)