北陸建築文化賞

北陸建築文化賞の受賞業績ギャラリー

第31回(2020年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from富山支所》

【 意匠設計・監理 】国立大学法人富山大学芸術文化学部 横山 天心
【  施工・管理  】株式会社プロデュース 新川 篤志
【 意匠設計・監理 】学校法人富山クリエイティブ専門学校 外﨑 夢大
【 構造設計・監理 】国立大学法人富山大学芸術文化学部 大氏 正嗣

<選評>
さまのこハウスは、富山県高岡市金屋町の重要伝統的建造物群保存地区内に改修部分と新築部分とを合わせた建築となっている。最大の特徴は設計者が「デュアルハウススタイル」と呼ぶ、改修部分と新築部分を各々異なったライフスタイルの場とし、中庭によって繋げる新しい町屋の暮らし方の提案であると言える。改修部分では、建設当初への復元を基本として、敢えて断熱改修を行わず、歴史的建造物の良さを継承することに重きを置いている。これに対し、新築部分ではスキップフロアにより空間の連続を作り出したり、大壁による断熱性能の確保を行ったりしながら現代的なライフスタイルに対応した空間構成と住環境を作っている。歴史的建造物を改修する際は、断熱などによる環境の改善が大きなテーマになることが多いが、この建築のように伝統的空間と現代的空間を意匠だけでなく環境性能においても対比的に捉えて、その両者を行き来することでそれぞれの豊かさを感じ取ろうとする試みは、文化の継承と創造という意味で大きな意義を持つと言える。(宮下智裕/金沢工業大学)