福祉型障がい児入所施設 まごころ学園
第30回(2019年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
【 建 築 主 】新潟県中越福祉事務組合
【プロジェクトアーキテクト/設計全般/意匠設計/施工監理】 山下秀之/一級建築士事務所山下研究室
【 設計JV開設者/プロジェクトマネージャー/施工監理 】 木村博幸/㈱長建設計事務所
【 構造設計/施工監理 】 江尻憲泰/江尻建築構造設計事務所
<選評>
まごころ学園は、新潟県見附市の緑に囲まれた小高い丘の上に建つ、知的障がいを持つ児童の入所施設である。障がい児の施設としての多様な要求に応えながら、木の温かみのある家のような環境、そして集落に暮らす風景の形成を、この建築で実践している。
切妻屋根と雁行した凹凸のある空間が、緩やかに分割しながらも繋がりを持つ居場所を提供しており、児童がお気に入りの場所を探し、お互いの存在を感じながら寛いでいる様子は印象的である。また、管理共通棟と個室群とで中庭を囲む円環状の空間構成にみえるが、雁行によるズレと大小の開口部とが、視覚的な広がりと変化を与え、児童とスタッフがお互いの気配、自然環境を感じる生活景を創出している。障がい児施設としての新たな在り方を丁寧に読み解きながら、児童と利用者そして地域社会にとって居心地が良く、安心できる空間を建築家と学園の協働によって作り上げた特筆すべき作品として高く評価できる。