箔座ひかり藏
第19回(2008年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from 石川支所》
【設計】水野一郎+金沢計画研究所
<選評>
金沢の重要伝統的建造物群保存地区にあった古いお茶屋を箔製品の小売店へ改修したもの。地区の制約から、外観は保存と修復しかできず、内部空間も用途変更に併せた若干の改変が認められるだけという条件の中で「ひがし茶屋街」に相応しい伝統環境において新たな商業施設の顔を作り出している。
特に、商品として扱う金箔を建築仕上げ材料として使い、蔵の内外壁に金箔を貼るという仕様はともすればキッチュとなるおそれがあるものを気品高く仕上げ、中庭の植栽空間を異次元の世界にいざなっている。伝統町屋の空間と現代金箔デザインの先端性を対比させた処理は秀逸であり、訪れる人に金沢の持つ文化についての強い印象を与えるものに昇華している。