新潟ワイン醸造村「新館棟」
第21回(2010年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
㈲アトリエCOSMOS
㈱本間組
<選評>
約8000坪の敷地にワインの醸造施設、関連施設が棟を分けながら配置されている集落的な建築群の最終計画として建設された、飲食・宿泊・温浴施設等による複合施設である。地域の風致性を護るため村の全体計画は“田園”的な風景を創出することを考慮し、甍屋根や自然素材が選定され、北西季節風による潮風を除けるよう弧を描いた片流れ屋根や高さをおさえた建物が松林の中に佇んでいる。落ち着きのある閉じた外観と対照的に、女性がくつろぎ、安心できる空間を、中庭を囲いこむように配置した開放的な空間で実現している。宿泊施設はこじんまりとして親しみがもて部屋から望むブドウ畑と松林がつづく景観が穏やかな時間をもたらす。集成材を使った木組みのしなやかでかつダイナミックな構造と繊細な納まりを各部に実現した完成度の高い作品である。20年間にわたったこのプロジェクトでの木材の積極利用や木造建築物の技術継承に向けての取り組みも評価したい。