《長野》“漆の里焼きサワラの家”(住まいのリフォームコンクール国土交通大臣賞受賞)
AH! vol.92 - 2026/1《from 長野支所》
川島 宏一郎/川島宏一郎建築設計事務所
今回の国土交通大臣賞受賞とても光栄です。しかし受賞して感じることは、リフォームに対する認知度の低さ、今後のありかたの重要性です。長野県は都会とは違い山間部と盆地をもつ非常に気温が低い地域が多い土地です。このような厳しい環境の中、中心市街地から外れた地域では人離れがいまだに進み、家を住み継ぐというのが難しい問題となっているのも確かです。新築を求め街の中心地へ。これは長野県に限ったことではないと思います。住み継ぐ概念、意識変換、また、現代の生活に合った家のありかたの考えを整えること。これらがとても大切ではないかと考えます。
大学院博士前期課程を修了し地元の設計事務所に就職、そして独立し民家再生を主に行う設計事務所を開設して様々な改修工事に携わってまいりました。この街の事情から現在建物を14棟所有することとなりましたが、これらの現状を私の所有している建物の改修をきっかけに未来に向けて問題解決の糸口としたい。またそれを日本全国、世界に発信し、街の未来、長野県、日本の未来をよくするためのお手伝いができればと考えております。
それでは受賞した建物の概要です。
(既存)(写真1)(写真2)
既存
写真1
写真2
木曽平沢の重伝建は現在、特定の建物が崩れ、壊されています。それは、気候変動、高齢化、空き家問題等が関わっています。この建物も19号台風の水害で床が落ちていました。
それを解決するため“もったいない”をコンセプトに子育てから様々なライフステージの変化、他の用途に対応した伝統と未来を見据えた200年先の家を造るため移住し再生しました。製材所で変色し腐りかけたサワラの板を焼いて再生、リサイクルの材料を積極的使用、薪ストーブ1台での暖房、太陽熱温水器を設置した他、積極的にゼロカーボンを行いました。格子のファサードとし周囲の景観と調和させると共に、延焼を抑え20分間サッシのガラスが焼き落ちない様にしました。構造は長手方向の貫は残し、隣からの影響を受ける短手方向にはMDFのコアとなる部分を設け、新たな基礎、金物、水平剛性をとり、火打も増設しました。断熱、庭施工は次世代を担う大工の専門校の実習とし職人育成の場としました。
改修の設計に対しては、歴史・風景・住まい方・機能の過去と現代、未来をつなぐものと考えております。いろいろな意味でのシークエンスや、機能あるデザインも大切にしております。また、設計者がその街に住み環境や気候風土を感じ取り設計することの重要性を考え、移住してこの家の設計を行いました。
(写真3)(写真4)
写真3
写真4
■その他の取り組み
・太陽熱温水器、高効率給湯器(景観を配慮した置き方)
・縦置きの太陽光発電設備(景観を配慮した置き方)
・ロスナイ、LED照明、HAMS、温湿度計、遠隔防犯
・トリプルガラス樹脂サッシと前室や障子を使った樹脂アルミサッシ
・川の水による冷房効果をとりいれる(はなれ)
・植栽による日差しのコントロール
・WEEによる上部構造評点の最小の値=1.05
・なるべくごみを出さない改修(建具の再利用や解体の少ない設計)
・庭に雨水、洪水対策の貯水池(景観を配慮して雨水タンクは使わない)
・リサイクルアプリで買った中古の設備(昔のもののほうがプラスチックを使わずガラスや陶器を使っている)
・リサイクルショップで買った断熱材(新古品を利用してコストダウン断熱材量が増やせた)
住まいのリフォームコンクール:
https://www.chord.or.jp/reform_contest/index.html