Webマガジン■AH!■

北陸5支所(新潟、長野、富山、石川、福井)の建築・まちづくり等に関する話題をお届け

AH! vol.83 - 2023/9《from 石川支所》

山崎 幹泰/金沢工業大学建築学部建築学科 教授

1.日程と内容
2023年度日本建築学会北陸支部総会・大会は、2023年7月8日(土)と9日(日)の2日間、(一社)日本建築学会北陸支部の主催で石川支所が担当した。2019年度大会以来、4年ぶりの全面的な対面開催としつつも、コロナ禍の経験を踏まえ、Zoomでのオンライン開催も全ての行事(懇親会を除く)において併用した。内容は以下の通り。

《1日目》2023年7月8日(土) 会場:金沢工業大学8号館201室
13:30~14:20 通常総会
14:30~14:35 開会式
14:40~16:00 2023年5月5日石川県能登地方の地震の災害調査速報会
16:10~17:00 北陸建築文化賞表彰式・受賞者による発表
17:30~19:30 懇親会 会場:金沢工業大学内ラテラ(食堂)

《2日目》2023年7月9日(日) 会場:金沢工業大学8号館
9:00~13:00 研究発表会
13:00~14:30 男女共同参画事業(石川)
14:30~15:30 学生による語り合いのシンポジオン
15:30~15:50 若手優秀プレゼンテーション賞表彰式、閉会式

この他に、執行役員会及び支部役員会が8日(土)11:30~12:40、事業・研究合同委員会、若手優秀プレゼンテーション賞評価委員会が9日(日)13:00~14:00に開催された。

2.総会
出席者は43名(参加者24名、オンライン11名、委任状8名)で、1,049名の日本建築学会北陸支部会員の1/30の35名以上であり、総会成立を確認した。
次に、石川支所長(山岸邦彰(金沢工大))を司会、北陸支部長(石川浩一郎(福井大))を議長として総会が開催された。2022年度の事業、決算、会計監査の報告がなされた。続いて2023年度の事業計画案、収支予算案が議決された。

3.2023年5月5日石川県能登地方の地震の災害調査速報会
2023年5月5日に石川県能登地方で発生した地震に対して、日本建築学会北陸支部が行った災害調査について速報会が開かれ、4名の研究者から報告があった。
山岸邦彰、村田晶(金沢大)からは今回発生した地震動の特徴について説明され、建築物の被害については、公共建築物を石川浩一郎、木造住宅を村田晶、伝統木造を須田達(金沢工大)から報告があった、最後にライフラインの被害について村田晶から説明され、講演後、限られた時間のためわずかであるが質疑応答がなされた。参加者は58名(会場参加者:53名、オンライン会場:5名)であった。


写真1:災害調査速報会


4.北陸建築文化賞表彰式
北陸建築文化賞表彰式は、建築活動審査部会長(宮下智裕(金沢工大))による審査報告の後、支部長より表彰状の授与が行われた。その後、受賞した4件の代表者からそれぞれご挨拶をいただき、スライドを用いて業績や作品の説明をしていただいた。参加者は65名(会場参加者:63名、オンライン会場:2名)であった。

5.懇親会
金沢工業大学内ラテラ(食堂)を会場として、4年ぶりに大会懇親会を実施した。今回は学生の交流を主眼におき、学生と一般の方が夢を語り合える場として懇親会を位置付けた。ボリュームのある料理と安価な価格設定等が奏功して、学生35名、一般26名、合計61名の方々にご参加いただけた。ある参加した教授から「10名くらい学生を連れてきた」と聞いたり、またある教授からは「今回は学生を多くと言ってたからできる限り連れてきた」と言ってくださったりと、皆様のご理解とご努力でかくも多くの学生が交流できたことは、近年では珍しいのではないかと考えている。最後に、金沢工業大学が誇る軽音楽部によるJazz演奏で締めて、久しぶりに「懇親会」と呼べる会食ができたことはこの上なく嬉しい。


写真2:懇親会


6.研究発表会
昨年と同様にウェブ投稿が行われ、146編の投稿があった。材料・構造系:30編(うち、トピックステーマ1編)、環境系:17編(うち、奨励研究1編)、計画系:99編(うち、奨励研究2編、トピックステーマ1編)の発表が行われ、多数の会場参加者にオンライン参加者を交え、活発に議論が交わされた。会場での発表を中心としたが、オンラインでの発表も可とし、適宜接続切り替えを行いながら進行したが、大きなトラブルもなく、コロナ禍前と変わらない研究発表会を行うことができた。

7.男女共同参画事業
2023年度の男女共同参画事業(石川)として、「木の文化を支える女性専門職としての歩み」をテーマに、生産者、活用者、保全者の立場から木に関する仕事に携わる女性パネリスト3名によるパネルディスカッションを開催した。司会は佐藤弘美(金沢工大)。パネリストは、山田憲子(あとりいえ。代表)、細野美希(金沢湯涌江戸村)、砂山亜紀子(もりラバー林業女子会@石川代表/(株)中野)。 まず各パネリストから現在の職業に就くまでの経緯、職業観や仕事のやりがいなど、主に女性の視点から仕事と生き方についてご講演頂き、それに続き参加者を交えて活発なディスカッションが行われた。職種や立場が異なる中で、共通点として技術的なことだけではなく、人と人とのつながりの中で価値を創造すること、また現在の仕事が好きでやりたいことに取り組んでいるという点が印象的であった。参加者は40名(会場参加者:38名、オンライン会場:2名)であった。


写真3:男女共同参画事業


8.学生による語り合いのシンポジオン
「SDG’sと木」をテーマに、4名の学生が自分たちの活動や考えていることについてプレゼンテーションを行った。男女共同参画事業のパネリスト3名もオブザーバーとして参加して頂き、学生の活動について質問やアドバイスをもらった。司会は山崎幹泰(金沢工大)。発表者は、高光利英(金沢工大大学院)、上野孝典(金沢工大大学院)、前川壮帥(石川高専修了)、徳成奏夢(石川高専)の4名。
木に対して現在取り組んでいること、木に対する将来的な考え方、これまで実施した木に関するプロジェクトの紹介、自分と木について、など、様々な観点から木に対するリスペクトから問題点に至るまで、木造の普及、有効活用、問題点の解決策などをプレゼンテーションし、パネリストからは今後の活動についてのヒントやアドバイスをいただいた。
参加者は37名(会場参加者:35名、オンライン会場:2名)であった。

9.若手優秀プレゼンテーション賞表彰式、閉会式
研究発表会と同時進行して若手優秀プレゼンテーション賞対象者の発表の審査が行われた。当日の事業・研究合同委員会において採点集計結果に基づき選考を行い、材料・構造系から5名、環境系から3名、計画系から6名が選ばれた。表彰式では支部長から受賞者一人ずつに表彰状が授与された。閉会式では支部長の閉会宣言があり、無事に閉会した。

10.おわりに
今回の支部大会の開催にあたり、日本建築学会北陸支部の皆様から多大のご協力をいただき、久しぶりの全面的な対面開催を無事に遂行することができました。特に、石川支所の皆さまには貴重な時間を使ってご尽力いただきました。なお、石川支所において全体計画を立案し、各担当責任者のもと運営しました。

総括               山岸邦彰
会計               山岸邦彰、山崎幹泰
プログラム            永野紳一郎
会場準備             須田達
総会               山岸邦彰
速報会              山岸邦彰
北陸建築文化賞表彰式       宮下智裕
懇親会              山岸邦彰
研究発表会            山岸邦彰、須田達
男女共同参画事業         永野紳一郎、豊島祐樹
学生による語り合いのシンポジオン 永野紳一郎、豊島祐樹