《長野》特集:2017年度日本建築学会北陸支部総会・大会in長野 ■ 男女共同参画進シンポジウム報告
AH! vol.60 - 2017/10/06《from 長野支所》
寺内美紀子/信州大学工学部建築学科 准教授
□建築設計VS 建築設計~キャリアって何でしょう~
2017年度建築学会北陸支部大会男女共同参画シンポジウム「建築設計VS 建築設計~キャリアって何でしょう~」が7月9日信州大学で開催された。加茂喜和子氏(みかんぐみ代表、名古屋工業大学教授)、小野田環氏(久米設計建築設計部主管)、今城絵美子氏(法務省大臣官房施設課法務技官)の3名に登壇頂き、司会の寺内とともに、質問者として学生4名が加わって、議論した。あらかじめ、「Q1. 自己紹介をかねて、ご自身の現在のご職業についてお話しください」、「Q2. ご自身のキャリア形成について、最も大事にしていることをお話ください」、「Q3. 「働き方改革」をするとすれば、どこからはじめますか」の3問を用意しておき、これらの質問に答えるかたちで会が始まった(写真1・図1)。建築意匠設計と言っても、アトリエ系事務所の主催、組織事務所勤務、公官庁の設計技術職と様々な立場でキャリアを形成してきた登壇者は、率直に自身のこれまでをスライドショーをもとに語り、聴講の多くを占める学生たちは熱心に聞いていた。
□学生からの質問
3名のスライドショーが終わった次に、あらかじめ質問を募った学生と登壇者で質疑応答をおこなった(写真2)。将来に向けて学生時代にやるべきこと、普段の息抜き方法など、どの質問にも登壇者は誠実に応えるのが印象的であった。設計職には様々な局面があり、多種多様な協力関係で成り立つことが披露され、キャリア形成は目的ではなく、日々の蓄積の結果であるとの発言は、学生には示唆深い助言になったと思う。
□キャリア形成における男女差
最後に会場からの質疑応答の時間を設けた。聴講者は男女偏りなく、学生が多かったため、男女共同参画社会の構築という当初の目的よりも、若い学生向けのキャリア形成に主題が移ったように思える。キャリア形成における男女差について、踏み込んだ議論ができたとは思わない。しかし、自身の将来設計にむけて、ひとつのヒントになったのであれば、シンポジウムの意義は果たせたのでないかと思う。