Webマガジン■AH!■

北陸5支所(新潟、長野、富山、石川、福井)の建築・まちづくり等に関する話題をお届け

AH! vol.79 - 2022/9《from 長野支所》

松田 昌洋/信州大学工学部建築学科 助教
佐倉 弘祐/信州大学工学部建築学科 助教

1.日程と内容
 2022年度日本建築学会北陸支部総会・大会は、2022年7月9日(土)と10日(日)の2日間、(一社)日本建築学会北陸支部の主催で長野支所が担当した。新型コロナウィルス感染症の拡大防止と関係者の健康・安全に配慮し、オンライン開催(一部、ハイブリッド開催)とした。内容は以下の通り。

《1日目》2022年7月9日(土) 会場:オンライン会場(Zoomにて開催)
13:30~14:20 通常総会
14:30~14:35 開会式
14:40~16:05 基調講演会『カーボンニュートラル実現のための建築分野の役割』                                      
        講師:田辺新一氏(日本建築学会会長)
16:15~17:00 北陸建築文化賞表彰式・受賞者による発表

《2日目》2022年7月10日(日) 会場:オンライン会場(Zoomにて開催)
9:00~12:40 研究発表会
13:00~14:00 男女共同参画事業(長野)
14:10~15:10 学生による語り合いのシンポジオン
15:10~15:30 若手優秀プレゼンテーション賞表彰式、閉会式

この他に、執行役員会及び支部役員会が9日(土)11:30~12:40、事業・研究合同委員会、若手優秀プレゼンテーション賞評価委員会が10日(日)13:00~14:00に、Zoomによりオンライン開催された。

2.総会
 出席者は61名(参加者55名、委任状6名)で、1,035名の日本建築学会北陸支部会員の1/30の35名以上であり、総会成立を確認した。
 次に、長野支所長(高村先生)を司会、石川支部長を議長として総会が開催された。2021年度の事業、決算、会計監査の報告がなされた。続いて2022年度の事業計画案、収支予算案が議決された。

3.基調講演会
 基調講演会として『カーボンニュートラル実現のための建築分野の役割』を演目に、田辺新一先生(日本建築学会会長)にご講演頂いた。講演会では「建築住宅分野のCO2排出量」、「徹底した省エネと再生可能エネルギーの普及の重要性」、「戸建て住宅の省エネ適合義務化」、「風力発電における日本とドイツの比較」、「イギリスのRenovation Wave Prioritiesについて」など、カーボンニュートラル実現に向けて、世界的な動向から、日本の建築業会が担う役割の重要性と可能性についてお話し頂いた。講演後、限られた時間ではあったが質疑応答がなされた。
 開催方法はZoomによるオンライン開催を基本としながら、講師及び一部の参加者が信州大学会場へ参集するハイブリッド開催とした。参加者は93名(オンライン会場:44名、信州大学会場:49名)であった。


基調講演会 田辺新一先生


4.北陸建築文化賞表彰式
 北陸建築文化賞表彰式は、建築活動審査部会長(宮下先生)による審査報告の後、石川支部長より表彰状の授与が行われた。その後、受賞した4件の代表者からそれぞれご挨拶をいただき、スライドを用いて業績や作品の説明をしていただいた。参加者は36名であった。

5.研究発表会
 昨年と同様にウェブ投稿が行われ、123件の投稿があった。材料・構造系:32件、環境系:30件(うち、奨励研究1件)、計画系:61件の発表が行われ、総計144名の参加者によって活発に議論が交わされた。今年から北陸支部研究報告集は、日本建築学会北陸支部ホームページ上で閲覧する形式となった。

6.男女共同参画事業
 2022年度の男女共同参画事業(長野)として、「エンジニアとしての働き方と職場環境」をテーマに、構造、設備、設計と専門の異なる女性エンジニア3名のパネリストによるパネルディスカッションを開催した。まず各パネリストから、建築の仕事に就いた経緯、働く環境の変化、働き方と生活のバランス、仕事のやりがいなど、主に女性の視点からみた建築の世界における仕事と生き方についてご講演頂き、それに続き司会者の進行により参加者を交えて活発なディスカッションが行われた。職場にエンジニアの女性仲間が少ないため、女性の事務職員も含めた社内オンライングループを設けて週に1度昼食を取りながら雑談するなど、コロナ禍で発展したオンラインツールを上手く利用して女性間での交流を図っているのが印象的であった。
 開催方法はZoomによるオンライン開催を基本としながら、パネリスト及び一部の参加者が信州大学会場へ参集するハイブリッド開催とした。参加者は51名(オンライン会場:37名、信州大学会場:14名)であった。

7.学生による語り合いのシンポジオン
 「新米エンジニアの建築活動」をテーマに各方面から応募を募り、4組の学生の団体が自分たちの活動や考えていることについてプレゼンテーションを行った。男女共同参画事業のパネリスト3名もオブザーバーとして参加して頂き、学生の活動について質問やアドバイスをもらった。どうすれば建築学科に女子学生がもっと増えるのか、という点に大人も学生も高い関心があり議論が白熱した。高校で理系文系に分かれる前に高校訪問をしたり、親子で楽しむイベントを企画したりすることで、建築の魅力を知ってもらうことが重要なのではないか等の意見がよせられた。
 開催方法はZoomによるオンライン開催を基本としながら、発表者及び一部の参加者が信州大学会場へ参集するハイブリッド開催とした。参加者は75名(オンライン会場:61名、信州大学会場:14名)であった。


学生による語り合いのシンポジオン


8.若手優秀プレゼンテーション賞表彰式、閉会式
 研究発表会と同時進行して若手優秀プレゼンテーション賞対象者の発表の審査が行われた。当日の事業・研究合同委員会において採点集計結果に基づき選考を行い、材料・構造系から3名、環境系から6名、計画系から5名が選ばれた。表彰式では支部長から受賞者一人ずつに表彰状が授与された。閉会式では長野支所長の閉会宣言があり、無事に閉会した。

9.おわりに
 今回の支部大会の開催にあたり、日本建築学会北陸支部の皆様から多大のご協力をいただき、オンライン開催を無事に遂行することができました。特に、長野支所の皆さまには貴重な時間を使ってご尽力いただきました。なお、長野支所において全体計画を立案し、各担当責任者のもと運営しました。

総括               高村秀紀
会計               水野桂子
プログラム            松田昌洋
会場準備             高村秀紀、松田昌洋
総会               高村秀紀、松田昌洋
講演会              西川嘉雄
北陸建築文化賞表彰式       梅干野成央
研究発表会            松田昌洋
男女共同参画事業         佐倉弘祐
学生による語り合いのシンポジオン 佐倉弘祐