Webマガジン■AH!■

北陸5支所(新潟、長野、富山、石川、福井)の建築・まちづくり等に関する話題をお届け

AH! vol.62 - 2018/04/16《from 石川支所》

森本真由/金沢工業大学環境建築学部 建築学科3年

 金沢工業大学のSoRA防災減災プロジェクトでは、災害発生時に学生と地域住民が協力し合える環境作るために地域連携、地域防災を目的とした活動を行っています。SoRAには、学生(Student)、住民(Resident)、行政(Administration)が一体となり、災害発生時の自助・共助・公助を促進させようという意味が込められています。一人一人が防災について学び、学生と地域住民が交流を深めることにより、防災・減災に対する意識を高めることができると考えています。

・地域を取り込んだ防災活動
 現在、金沢工業大学周辺である石川県野々市市高橋町・本町2丁目・扇ヶ丘の住民の方々と交流をさせていただいています。2017年度は3町合同で防災訓練や防災・減災に関する報告会などを行いました。防災訓練では、住民の方々に「炊き出し体験」など防災に役立つ技術を体験していただき、多くの方に非常食がどの様なものなのかを知ってもらえたと思います(写真1)。報告会では、地域が抱える防災上の問題について、学生と地域の方が一緒になって解決に向けた話し合いを行いました(写真2)。


写真1 防災訓練での炊き出し

写真2 報告会での話し合い

また、他にも防災とは関係なく地域行事への参加や月に一回地域の方との夜回り活動を行いました。日頃から住民の方々と接することにより、災害発生時に円滑な共助活動が行える信頼関係の構築を目指しています。

・小学生を対象とした防災教室
 野々市市の小学生を対象に、楽しく防災について勉強してもらおうと「防災教室」を実施しています。カルタゲームやクイズを取り入れた、記憶に残る学習方法を考案し、実践しています(写真3)。例えば、地震が起きたら直ぐに机の下に潜る、という俊敏な行動を、幼い時から繰り返し行うことによって、防災行動が習慣化すると考えています。これにより自助の力が身につくと考えます。一方、小学生からのさりげない質問にきちんと答えられない時もあり、大学生が勉強させられる場面もありました。


写真3 防災教室の様子

・防災知識の研鑽
 学生達の防災知識を広げ、深化させるために、普段から防災勉強会を行っています。防災勉強会は、文献調査など防災に関連した調査結果をグループごとに発表し合うことにより、互いの防災知識を高め合う活動です(写真4)。自分達が専攻する建築分野と防災の話題が重なる場合もあり、専門知識と防災知識を同時に向上させることができます。加えて、昨年は他大学と合同の防災合宿に参加し、災害時に使える実技講習を受講したり、ディスカッションを交えたりして、被災地でのボランティアのあり方について考えました。この合宿は、防災ボランティアを数多く経験してきた方や他大学の方と意見交換できる良い機会になりました。


写真4 防災勉強会

・今後の展開
 今後は2017年度の活動で培ったノウハウを活かし、SoRA以外の学生を取り込んだ防災ボランティア・リーダーの育成に向けた活動を行っていこうと考えています。災害時に、より多くの学生が救助活動に参加できることを望んでいます。そして、このような活動を通じて防災意識と知識が市町に広がり、防災に強い「まち」が増えていくことを願ってやみません。