砺波市出町子供歌舞伎曳山会館
第22回(2011年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from富山支所》
【建築主】 砺波市
【設計者】 ㈱森俊偉プラスアルコ建築・計画事務所 主宰 森俊偉
【施工者】 砺波工業㈱・㈱松本土建共同企業体、砺波工業㈱
<選評>
正面左右に鉄筋コンクリート造の舞台ゾーンと曳山展示ゾーンを配置し、正面エントランス部分に雨天時にも曳山が屋外で展示できるよう、広場を覆うようにして、鉄骨造の大屋根がかけられている。曳山展示室は、3基の曳山が展示されており、展示室内に設けられた2階ギャラリーに通ずる階段で、下から上に移動しながら曳山を俯瞰することができる。舞台ゾーンは、芝居小屋の雰囲気が味わえる手ごろな規模の席となっている。内装の色調は曳山にまつわるさまざまな資料、きらびやかな衣裳・小道具類の展示物と相まって、江戸の気分を感じさせる雰囲気となっている。出町の子供歌舞伎の歴史は江戸時代は天明年間にさかのぼり、加賀藩文化と出町の繁栄のシンボルとして実現した。出町子供歌舞伎曳山会館は、出町3町に伝わる曳山とその舞台で演じられる子供歌舞伎の保存・展示・承継の場として、市民が手軽にかつ楽しく伝統文化や伝統芸能に触れることのできる施設である。地元住民、曳山関係者、商工関係者等とも協働して基本計画をまとめあげ、伝統文化を継承し、振興していくための建築物は、地域文化の創造に大きく貢献していると認められ、北陸建築文化賞にふさわしい建築物である。