山川藪文庫
第35回(2024年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕
【 設計・監理 】富山大学籔谷祐介研究室 担当:籔谷祐介+北島陽貴
【 構造設計 】大氏正嗣
【 施工 】GO 担当:江嵜倫史 麻崇
【 造園設計・施工 】株式会社越路ガーデン 担当:西尾耀輔
<選評>
移住者であり、研究者であり設計者でもある施主は、元々の家屋を見た時に、考えていた家屋の「大きさ」とのギャップを感じたという。地域の特徴もいえる家屋の大きさを、住まい手の生活様式や現代の家族形態の変化に合わせて、また移住者として地域との関係性をつくるために「残しながら減らす」半減築という手法を用い、ちょうどいい大きさに引き寄せる工夫がなされている。既存家屋の客間から外壁サッシや内装材としての床を撤去し半屋外化した土間や、コンポストのトイレ、近所の神社の植生のリサーチから植えた庭木に至るまで、家族の生活や子供の暮らしに対する目標が反映されると共に、設計者である施主が仕事や研究の中で培った考え方やスキルを地域と共有して、地域の人々との創発的な関係性を築くための実験的とも言える試み、ひとつの理想系を作り上げようとする姿勢を評価する。この家が持続していくこと、地域もまた持続していくことを願う次第である。(清水俊貴/福井工業大学)

