タケフナイフブレッジ共同工房既存棟改修・新館増築プロジェクト
第34回(2023年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from福井支所》
【 設計・監理 】長田直之+ICU一級建築士事務所
<選評>
越前打刃物づくりに携わる13事業者の共同工房・直売所の改修・増築である。1993年、毛綱毅曠氏の設計によって既存棟が建てられ、前面広場での初打ち神事や隣地への個人工房建設が次々に誘発されていった。今回の改修・増築は、こうした活動や建築環境との真摯な対話から生み出されたものである。例えば2本の三角形断面チューブで構成された新館は、西側用水の流れに呼応すべく、その一つが少し振られている。つまり毛綱建築に対峙する際立った形象を出現させつつ、新たな工房配置の手がかりをさりげなく埋め込んでいる。同時に竣工後30年が経過した既存棟は見学動線が整備され、エントランス兼ショールームは資料館として再生されることになった。現在、代替り時期を迎えたタケフナイフビレッジ。第2世代の職人たちに向けて、越前打刃物のさらなる新境地開拓を鼓舞するような建築が生み出されている。(佐藤考一/金沢工業大学)