北陸建築文化賞

北陸建築文化賞の受賞業績ギャラリー

第33回(2022年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》

【 設計・監理 】東海林健+平野勇気/株式会社東海林健建築設計事務所
【 施 工 】株式会社廣瀬

<選評>
木造の山トラスと谷トラスを組み合わせた一つながりの大きな変形折版屋根の下に、内部空間を規定する直交軸の木フレームをあえて屋根架構とずらしながら設けることで、内部空間の周りに、多様で魅力的な屋根付きの半外部空間をまとわせている。さらに、屋根形状をトレースした折版天井とトラス架構が、室と室あるいは内部と外部を横断することで、それらの境界を曖昧にしているためか、園児たちは、内部と半外部空間を楽しそうに行ったり来たりして動き回っていた。このようにダイナミックで多様なシーンが展開するといった建築空間の魅力に加え、敷地周辺の曲がりくねった細い路地を取り込んだ半外部空間、地域のシンボルであったタバコ小屋の越屋根からインスピレーションを受けたトップライトの立ち上がり、稲穂を自然乾燥させるための「はさ木並木」を模した木スクリーンなど、この地域の文化や歴史を積極的に継承しようとする姿勢も北陸建築文化賞に相応しいと思われる。(横山天心/富山大学)