北陸建築文化賞

北陸建築文化賞の受賞業績ギャラリー

第29回(2018年度) 北陸建築文化賞受賞〔業績〕《from福井支所》

【古民家修復・景観西部活動総指揮】吉田純一・多米淑人
【 小原ECOプロジェクト 代表 】國吉一寶
【     小原集落区長    】杉吉政已
【    学生への大工技術指導   】東洋建匠

<選評>
住民2戸2名という廃村が迫る、福井県勝山市北谷町小原集落に平成17年以降13年間にわたり申請者ならびにそのゼミ生、延べ200名以上が関わってきたプロジェクトである。高等教育機関における地域活性化活動の一環として、地域イベントや学生によるリノベーションなどの参加型の活動が充実してきた昨今においても、本プロジェクトのように地道で長期間にわたる活動は全国的にも希少である。小原集落の古建築の修復に際しても、外装的・建築様式的な研究にとどまらず、小屋組などの架構の起源に遡求した建築史的な研究を踏まえた堅実な修復活動は評価が高い。加えて、ゼミ生が主体的に関わることで、生きた建築教育の実践の場となることは勿論、学生の活動を通じて、地元を離れざるを得なかった住民が学生の宿泊・食事の提供を行うことを通して地域との関係の再生構築に貢献している。限界集落における新しいコミュニティのモデルとして今後の展開を期待したい。