北陸建築文化賞

北陸建築文化賞の受賞業績ギャラリー

第28回(2017年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from富山支所》

【 建  築  主  】黒部市
【設計監理(統括意匠)】㈱ ofa
【 設計監理(構造) 】㈲ 桃李舎
【 設計監理(設備) 】㈲ 知久設備計画研究所
【 施工(建築)   】大高建設・音沢土建特定建設工事共同企業体
【 施工(機械設備) 】吉枝工業・富山管工特定建設工事共同企業体
【 施工(電気設備) 】北陸電気工事㈱新川支店

<選評>
宇奈月温泉総湯の最大の魅力は、建築のまちへの参加である。温泉街の中心的な二本の通りに面した敷地を活かし、1階は通り抜け空間を含め極めて開放的な構成となっている。ここには、住民ワークショップによって考えられた地域のための様々な活動や観光客も含めたイベントなどが自由に行なえる空間が用意され、温泉街らしいコミュニティーの新しい拠りどころとなっているという印象を持った。大きな格子引戸を開放することで、みち行く人々を気軽に建物内に引き込み滞留させ、反対側のみちへと繋げるというデザインコンセプトが効果的に働いている。
 街中に建つ温泉の建築はその性格上、閉鎖的になりやすいが、この格子引戸を上階部のファサードにも連続して用いることで開放性を確保し、2・3階に設けられた涼み処に於いても山並み景観やみち空間との連続性を生み出している点も高く評価できる。総湯をコミュニティーの中心と捉え、ヒューマンなスケール感と敷地特性を上手く活かしながら、温泉街に新たな賑わいを創出している素晴らしい建築であると言える。


© Ken'ichi Suzuki


© Ken'ichi Suzuki