北陸建築文化賞

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第11回 (2000年度)北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟》石井大五
+フューチャースケープ建築設計事務所

<選評>
本作品は、新潟県の十日町広域圏6市町村を対象とした地域づくり「越後妻有アートネックレス整備事業」の一環としてつくられた。当事業は、新潟県が行っている広域的地域づくり「里創プラン」の一つであり、アーティストや建築家が地域づくりに関わり、衰退傾向のある地域に活力を与え、魅力ある場所に変えていこうとしている。
そのプログラムの一つとして、川西町で整備しつつあるキャンプ場の中に、まだ実施例の少ない優秀な若手建築家たちに機会を与えて、新しいタイプのコテージをつくっている。コテージC棟もその一つとして昨年完成した。以前につくられた規模が小さくトイレ、浴室設備も付いていないバンガローと同じ工費とは思えないほど、豊な空間を持つ建築が出来上がった。光の入り方の美しい室内からは、ブナ林の表情の移ろいをさまざまな形で眺めることができる。強い観光的特色に恵まれていない川西町であったが、このコテージの評判はよく、さまざまな雑誌や新聞で紹介されたこともあり、シーズン中の週末には一杯になるほどの予約を集めている。
斬新な室内の空間とは対照的に、外壁は、今でも地域の民家や蔵に使われている杉板押縁下見板張りで仕上げている。公園の中という環境に配慮したとのことだが、それによりブナ林の中でも突出した印象もなく、昔から建っていたようななじんだ雰囲気を漂わせている。また、町場の大工でも手掛けられる在来の木造技術を使いながら、ふつうの建物とは違う魅力的な空間へ仕立て上げたことで、在来工法の可能性も拡げている。そういう環境への配慮や地域づくりの中での位置づけなどが評価され、本年度のグッドデザイン賞を受賞している。
小規模でローコストであるが、このような魅力的な公共建築の増えることが、地域の環境を豊かにし、地域に自信を与え、また、市民のほんとうの意味での公共財産になると考える。その意味から、本作品を北陸建築文化賞に推薦する。