六日町の家
第21回(2010年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
奥野公章建築設計室
我伊野構造設計室
フラワーホーム
<選評>
多雪地域で一年の半分以上が雪に囲まれる六日町の住宅である。生活を制限する長い冬を、明るくのびのびにとした豊かな空間ですごせるよう考案された“インナーコート”を中心に3つの棟を配置、家族それぞれの場所を気配でつなぐ。大きな吹抜空間のインナーコートに、天井に設けた東西軸のハイサイドライトから光を取り入れる共に、棟と棟の間に断熱性能のある温室サッシュと天然ウールの断熱材で構成した光壁を設置。時間の変化とともに入る表情を変えたやわらかな生成色の光が印象的である。エネルギー負荷を低減するために、外壁には充填式の断熱材と熱反射性能のある断熱シートを内側部分に設置し暖房効率の向上をはかる。豊富な湧水を利用した融雪は夏には表面温度を下げるための放水となり、自然の恵みを利用し共に生活できる工夫をしている。東西軸と里山の眺望の軸により計画された平面と融雪のための屋根勾配は複雑であり、木造とするには高い精度が求められたが、3次元プレカットの最新技術と地元の熟練の職人の手により実現した。