《新潟》昭和初期の公会堂をリノベーション、まちづくりの拠点へ
AH! vol.63 - 2018/07/10《from 新潟支所》
宮 沙織/NPO法人柏崎まちづくりネットあいさ
□「喬柏園(旧柏崎公会堂)」に、再び人が集まる
喬柏園(きょうはくえん)は、海からほど近い新潟県柏崎市西本町にある旧柏崎公会堂です。この施設は「市民活動」と「防災教育」の2つのテーマをもつ「かしわざき市民活動センターまちから(以下まちから)」として、平成27年にリニューアルオープンしました(写真1)。当時の雰囲気に合わせて新調された一つひとつの家具が、その部屋の表情を豊かにします。平日は、元気に体操をする高齢者や楽器の練習をする主婦、防災学習に訪れる小学生、時には高校生の百人一首の声が響いています。休日になると、当時を懐かしむ社交ダンスパーティ、柏崎好きが集まる交流会(写真2)、小さなグループや個人がチャレンジする新しいサービス・商品を集めたイベント等が開催され、老若男女が集いワクワクする時間を過ごしています。
実業家であった高橋忠平氏の遺志を継いだ夫人からの寄付金により昭和13年に竣工され、住民が待ち望んだ交流の場として賑わいました。その後、新潟地震、中越大震災、中越沖地震と三度の大きな地震も乗り越えた象徴的な建物です。国の登録有形文化財として保存をしながら、かつての交流の場のように住民のアイデアや夢が溢れる場となっています。
□まちの個性は、住民一人ひとりの思いの強さ
住民が集まる娯楽の場として、自ら楽しみを創ってきた喬柏園。その意思を引き継ぐように、まちからは「みんなと楽しめるまちを目指して、あなたとやりたいことをカタチにします」というビジョンを掲げ、住民のやりたいことを実現するための支援を行っています。今年2月には、地域の問題にチャレンジする団体が抱える悩みについて、みんなでアイデアを出し合う「アイデア交換会」を開催しました(写真3)。参加者は団体の活動に共感し、後日商品を買ったり、活動の拠点に見学に行くといった繋がりが生まれました。
このまちに思いを持った人、そうではなかった人が出会い、一人ひとりが自分ごととして地域の未来を考えることで、まちの個性は作られていくと思います。たとえ活動のリーダーでなくても、自分らしい地域との関わり方を模索すればいいのだと思います。
□公設民営でサービスの質を高く、常駐コーディネーターの存在
こうしたまちからのサービスは、指定管理者であるNPO法人柏崎まちづくりネットあいさ(以下あいさ)の専従コーディネーター6名の他、様々な専門性を持つ個性豊かなコーディネーターが仕掛けています。団体の立ち上げや法人化、NPO会計、外部人材、デザイン、場づくり、ファシリテーション、自主防災といった得意分野を活かし事業を展開しています。「応援する」「繋がる」「伝える」という3つの事業の柱があり、伴走型の相談支援業務、交流会・講演会企画、補助金事業、防災教育等を行っています。窓口には年間約700件の相談があり、多様な相談に応えながら、行政や関係機関との間を繋ぐ中間支援としてのコーディネートも行います。(写真4)。
□今後の展開
今後は「みんなと楽しめるまちを目指して、あなたとやりたいことをカタチにします」というビジョンにのっとり、地域の問題解決にチャレンジする仲間を増やしながら、市民活動と防災教育の環境整備を進めていきます。
あいさとしては、まちからという拠点運営の他にも、まちづくりのノウハウや情報を活かした新たなサービスを企てていきます。そして、柏崎で自分らしい人生を活きる人を増やしていきたいと考えています(写真5)。
・NPO法人柏崎まちづくりネットあいさ
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・かしわざき市民活動センターまちから
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