若鶴大正蔵
第25回(2014年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from富山支所》
【建築主】 北陸コカ・コーラボトリング株式会社
【設 計】 蜂谷俊雄+金沢計画研究所
【施 工】 松井建設株式会社北陸支店
<選評>
若鶴大正蔵は、大正時代の酒蔵を会社創業のシンボルとして再生した若鶴酒造の研修施設である。土蔵造りの外観など往時の状況を保つ一方、過去に解体された北側妻面に設けたエントランスは、棟木を支える鉄骨十字形やモザイクタイル張りの屏風状スクリーンなどで、別世界への入り口として象徴的にデザインされている。内部は、桁行両側を展示室、中央部を研修室とし、耐震性能を改善しつつ、漆喰壁の上に張られた板金など修繕履歴も受け継ぐよう改修が行われている。既存の2階床の大部分を撤去して階段状の床構成とした研修室は、大屋根の下に連続する登り梁と立ち並ぶ棟持ち柱の迫力が際立ち、登り梁と連動した耐力壁の配置や各スペースへの細やかな配慮などと相俟って、力強い中にも落ち着きのある出色の大空間となっている。様々な活用方法が想定できるだけに、法適合上用途を研修所とせざるを得ず、不特定多数での利用ができないのが、何とももったいない。