海野宿滞在型交流施設 うんのわ
第26回(2015年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from長野支所》
【 建 築 主 】 東御市長 花岡利夫
【調査研究/基本計画・基本設計/実施設計・監理監修】 土本俊和
【調査研究/基本計画】 信州大学土本研究室 新井拓也・松田航
【 実施設計/監理 】 株式会社アーキディアック 児野登・玉川幹夫
【 施 工 】 株式会社竹花組東御支店 木村啓二
<選評>
重要伝統的建造物群保存地区海野宿にある旧大熊邸を宿泊やレストランがある交流施設に改修する計画である。旧大熊邸は養蚕業を営んだ後に病院や借家などの用途の変遷があったが建設当初の姿が残されている。その姿を継続させる為に事前調査から竣工まで4年以上を費やし丁寧に解決策を探り当てている。外観は保存に徹しており、その為に自然素材利用や既存土壁・既存庭石再利用など地域性を配慮した材料選定としている。また、用途変更や防災・構造補強など現在の利用に則した改修の為に、既存構造が見える新たな吹抜の計画や古材と新規材使いわけの意匠利用など、既存建築の魅力を生かすための様々な個性的な手法の改修がされている。宿泊棟客室から眺められる街道の景色や露わになった伝統的建造物の小屋組みの迫力はこの地区や本建築の特徴を見極めた改修設計であり、海野宿で過ごすひとときの場として相応しい魅力的な空間を内外共に創り出している。