YGD/越後薬草蒸留所
第34回(2023年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
【 設計・監理 】東海林健/株式会社EA
【 設計・監理 】嶋田貴之/嶋田貴之建築設計事務所
【 施工 】株式会社吉原組
<選評>
隣地の工場で野草の発酵過程で発生するアルコールを利活用するため、クラフトジンの蒸留所及びその魅力を発信するためのギャラリーとバーが計画された。壁に低ライズのアーチを用いることで建物を四つ足で軽やかに接地させており、その隙間からランドスケープが建物の中に滑り込んでいる。さらに1階の床仕上げは庭と同じ土舗装となっており、内と外の連続性がさらに強調されている。まるでオブジェのような蒸留装置は建物の中央部に鎮座しており、中間階のギャラリースペースから見下ろすこともできる。上階は4周を水平連窓で囲まれた開放的なバーで、パノラマビューの眺望を楽しみながらジンを味わうことができる。建物内外を特徴づけているRCの打ち放し壁は、地元の杉材を型枠に活用した出目地仕上げとなっており、あえて脱型時に出目地がランダムに斫れるようにデザインされている。その荒々しい表情により、新潟のブルータリズムが表現されているように感じた。(横山天心/富山大学)