北陸建築文化賞

北陸建築文化賞の受賞業績ギャラリー

第11回 (2000年度)北陸建築文化賞受賞〔業績〕《from福井)武生ルネッサンス
(代表:上木雅晴)

<選評>
「北陸のすまい研究会」は、北陸に適したすまいづくりについて検討、研究することを目的に、平成4年に設立された。富山・石川・福井の北陸3県にある4大学、1高専、3県の建築住宅課、住宅金融公庫北陸支店、住宅メーカー17社、設備・建材関係7社、設計事務所4社を会員として構成され、北陸電力㈱が事務局を勤めている。
 平成5年に研究会内に「北陸の地域特性に適応した住まいのあり方」研究委員会を組織し、平成6年にモデル住宅の設計、提案を行った。そして平成7年7月には富山市舟橋南町に、「北陸の地域特性に適応した健康・快適・省エネルギー実証モデル住宅」を竣工させ、平成11年2月までのほぼ4年半にわたり、見学者および居住者からの建築および住まい方に関する意見聴取や、高断熱・高気密化によりもたらされる屋内温熱環境および冷暖房等系統別エネルギー消費量の計測と、評価を継続してきた。特に、屋内に形成される温熱環境とエネルギー消費との関係を10分間隔の通年データ取得を通じて解析した研究例は、北陸に類を見ないものである。
 その結果、平成11年9月の最終報告書に詳細を記載している如く、以下の諸点を明らかとし、また、モデル住宅見学会(来訪者数3600余名)や、5回にわたる3県での報告会開催(出席者約1000名)を通じて、一般ユーザーのみならず多くの工務店・住宅建築関係者へ当該住宅の優れた点を紹介することができたので、日本建築学会北陸支部の北陸建築文化賞に応募する。
 1)建築計画ならびに空間構成に対する北陸在住者の意識の明確化
 2)高断熱高気密化による室間温度差および上下温度差の縮小と居住者の温熱快適性の向上の定量化
 3)温熱環境データと平行して取得した暖房・冷房・給湯等用途別エネルギー消費量データの解析に基づく、北陸に立地する高断熱高気密住宅の経済合理性