Webマガジン■AH!■

北陸5支所(新潟、長野、富山、石川、福井)の建築・まちづくり等に関する話題をお届け

AH! vol.51 - 2015/07《from 福井支所》

五十嵐 啓/福井工業大学工学部建築土木工学科 准教授

福井県の北部、のどかな山あいの坂井市丸岡町竹田地区で里づくりプロジェクトが進んでいます。2013年に「竹田の里将来ビジョン検討委員会(委員長:福井県立大学 北川太一教授)」が設立され、住民アンケートやワークショップなどを行いながら竹田の活性化について地元の方々と話し合いを重ね、昨年3月に「竹田の里将来ビジョン」が発表されました。その後、複数のプロジェクトが立ち上がりましたが、その中心となるのが2013年度末に廃校となった「旧竹田小中学校舎」の宿泊型体験学習と観光拠点施設への改修計画です。同9月に実施された設計プロポーザルで選ばれたタンタブル一級建築士事務所(東京)によって今年3月に設計がまとまり、現在は2016年春のオープンに向けて工事施工者の選定準備中です。
福井工業大学の学生も、昨年10月から近くの「たけくらべ広場」に隣接する森の中に計画されている、冒険型プレーパークの中心施設となるツリーハウスのデザイン提案やその工事施工に携わってきました。
この度その縁で、タンタブル一級建築士事務所代表の丹治健太氏の他、設計チームのK.A.P加賀谷建築設計代表 加賀谷哲朗氏、技術パートナーの東京大学デジタル・ファブリケーション・ラボ 吉田博則氏、日建設計 ラルスン・マリア氏の4人の講師による講演会と見学会を2日間にわたって実施致しました。
4月17日(金)の講演会には、遅い時間の開催にも関わらず、本学の学生の他、他大学の学生や企業関係者など70名を超える出席がありました。まず丹治健太氏・加賀谷哲朗氏より「坂井市旧竹田小学校改修工事」の設計コンセプト「21世紀型 竹田の“公民家”」や「これからの公共建築のあらたな魅力」を実現するために、セルフメイド建築の可能性について講演をいただきました。(写真1)


写真1


続いて吉田博則氏・ラルスン・マリア氏から、人の柔軟性や応用性と機械の正確性、素材そのものが持つ物質特性が相互に調和した生産プロセスに関する研究活動や、3D-CADのRhinocerosやGrasshopperを利用した、コンピュータと人の新たな関係性から生み出されるデジタルデザイン手法等を紹介いただきました。(写真2)


写真2


4月18日(土)は講師の先生方と学生、教員30数名が参加し、坂井森林組合さんのご協力を得て、間伐材の再利用に取り組まれているニューチップコーポレーション(越前町)やWOODバイオマスセンターさかい(あわら市)、伐採作業現場(坂井市)を見学し、最後にプロジェクトの舞台となる旧竹田小学校校舎を調査・見学しました。(写真3・4・5)


写真3


写真4


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この日の竹田の里は100本以上あるしだれ桜が満開で、天候にも恵まれ大変充実した2日間となりました。
参加学生は、今後ワークショップで吉田氏の技術指導を受けながら、「坂井市旧竹田小学校改修工事」で使用が予定されているレジン樹脂を使った外装材の制作にも携わっていきます。